偏光サングラス解説書

 
1.偏光サングラスのメリット


偏光サングラス=水中が良く見えるメガネと思っている方が多いように思います。
しかしこれが奥が深い物で、偏光度、可視光線透過率、カラー特性の違いによって見え方が変わってきます。当然レンズだけではサングラスになりません。それぞれのレンズの特長を生かすようなフレームを選ばなければなりません。

乱反射をカットする=偏光レンズの基本機能、水中が良く見え乱反射がなくなることで目の疲れを和らげます。

サングラス効果=眩しさを和らげる効果、炎天下の眩しい光を軽減すると同時に目に有害な紫外線をカットします。

カラー効果=カラーレンズを使用することによってコントラストを高めたり、特定の色を強調したりすることが出来ます。ブラウンレンズは、グレー系のレンズに比べ黄色系の色を強調します。

目の保護=砂埃の進入を防いだり、衝撃から目を守ったり、釣りやスキー、スノーボード等では目の保護と言う意味だけでも掛ける必要があります。


 2.偏光レンズとは

偏光レンズとは読んで字のごとく偏った光りを、さえぎってくれるレンズです。
 太陽の光や蛍光灯などが直接目に入ってくるのを自然光とすると、水面やガラスなどに反射した光を偏光という、湖の上に立っていると水面に太陽光が反射してまるで鏡のように水面上の物を映し出してしまうことがある、この反射を取り除くことによって水中のストラクチャーやバスやベイトフィシュなどを見やすくしてしまおうというのがこの偏光レンズである。

 なぜ偏光レンズが水面の反射を取り除くのかというと、偏光レンズ内に特殊フィルムが挟んであり、このフィルムがブラインドカーテンのような役割りをして反射をカットします。ブラインドカーテンを横につけても意味がないように、偏光レンズにも軸というものがあって軸を水平にすることによって上下方向の反射をカットできるようにしセットします。したがって水面からくる下からの光の反射をカットします。

 
 3.偏光度とは


偏光度とは、偏光軸を水平にした場合上下方向の反射光をカットしてくれる割合をいいます。
偏光度が100%に近いほど偏光レンズとして高性能といえますが、偏光度と可視光線透過率は密接な関係にあり、偏光度が高くなると可視光線透過率が低くなってしまいます。用途によって使い分ける必要があります。

 4.可視光線透過率とは


可視光線透過率とは、光りをカットしてくれる量のことをいいます。可視光線透過率が低くなるほどレンズの色が濃くなり100%に近づくにしたがって薄くなります。
目と物があって見えるように思いがちですが、光があって初めて物が見えます。
物があるから見えるのではなく、光があるから物が見えるのです。光の量を正しくコントロールすることは物を良く見るうえで非常に大切なことです。
光に対する感じ方は人それぞれで、一般的に同じ光量でも年配者の方が暗く感じます。


 5.偏光度と可視光線透過率の関係

1.で述べたように偏光レンズがブラインドのようなのもである以上、レンズの濃度が必要になってきます。透明なブラインドでは光を防がないのと同じです。

晴れた日の場合偏光度が高く可視光線透過率が低いレンズ、すなわち、反射光を100%近くカットしてくれて、眩しすぎる視界をちょうどいいぐらいまで減光してくれる、レンズが理想です。一般的に人が眩しいと感じた時、その時の可視光線の65%以上をカットする必要になってきます。

 問題は、曇りや雨のときです。偏光度を高くするためには、どうしてもレンズの色が濃くなってしまい、可視光線透過率が低くなって視界が暗くなりかえって見ずらくなってしまいます。ある程度は、偏光度を犠牲にしてでも、可視光線透過率の高いレンズを使うと良いでしょう。

 
 6.カラーによる特性の違い

各カラーの違いによる特性の違いは偏光レンズカラーバリエーションをご覧ください。

 7.UV400CUTとは?

最近偏光サングラス以外でも良く聞くUVカットとは、目や肌に有害とされている紫外線A波・B波を100%カットしてくれる。レンズです。
UVカットになっていないサングラスを使うと減光作用により目の瞳孔が開いてサングラスを掛けていないときより多く紫外線を吸収してしまいます。
最近では、無色の(実際は若干黄色みがかっている)眼鏡レンズも出ているので偏光サングラス以外でも、外に出る機会の多い人はUVカットレンズをお勧めします。

 8.度付き偏光サングラスの選び方

度付きの偏光サングラスを作りたいと言う方は普段からメガネを掛けている人がほとんどだと思います。そこで、度付きの偏光サングラスを作るにあたって覚えといて頂きたいのが、通常のレンズと違い偏光レンズには薄型レンズという物がありません。あまり大きめのフレームを選んでしまうとレンズが厚く重く掛けずらい物になってしまいます。特に強度の人は気をつけたほうがいいでしょう。
度付きレンズのレンズカーブは決まっています。極端にカーブのきついフレームは度付きは避けたほうが良いでしょう。カーブフレームを選んだ場合は、レンズカーブまでフレームカーブを戻すようになります。


 9.度無し偏光サングラスの選び方


度無しの偏光サングラスの場合、メガネ屋で購入するより釣具店やスポーツショップの場合が多いでしょう。この場合店員に光学的知識が無い場合がないがほとんどで、的確なアドバイスが出来ないばかりか、通常なら返品されるべき歪みが出ているレンズが平気で売られています。
信用できるショップでの購入をお勧めします。

右の写真が某メーカーの偏光サングラスです。
写真からも歪みが出ているのが解かると思います。
当店ではこのような初期不良をチェックしてから販売しています。
特にカーブのきついフレームに歪みの出ている物が多くあります。

 10.レンズの素材について


偏光レンズには今現在3種類の素材があります。
@ガラスレンズ
Aプラスチックレンズ
Bポリカーボネイトレンズ
どのレンズにも長所と欠点があるので、レンズ素材の特長をよく理解する必要があります。

ガラスレンズ
長所:キズが付きにくい。同じ度数の場合プラスチックレンズより薄く出来る。
短所:割れやすい。重い。

プラスチックレンズ
長所:軽い、
短所:ガラスレンズに比べキズが付きやすい

ポリカーボネイトレンズ
長所:3種類のレンズ素材の中で一番衝撃に強く割れにくい。比較的安価である。
短所:度付き対応が出来ない。キズが付きやすい。歪みが出やすい。


 11.フレームの素材とデザインについて


代表的な
フレームの素材には、メタル、チタン等の金属系と、セル等のプラスチック系が上げられます。

メタルフレーム

掛け心地や軽さなどを追求するにはメタルフレーム、特にチタン素材で出来ている物は軽くなります。

プラスチックフレーム

一般的に鼻パットが固定式のものが多いので、鼻の低い人はヅリ落ちやすい。
鼻パットが無い場合、顔に近づくのでサイドからの光の入り込みが少ない。

比較的メタルフレームより重い。

 


 12.遠近両用の偏光サングラス


細いラインを結んだり、遠くのポイントを見たりする釣りにはどうしても遠近両用のメガネが欠かせませんが、値段が高いのと一般的ではないので遠近両用の偏光レンズを利用している人は少ないようです。

当店でお勧めの遠近両用のシステムがこれ。
メガネの上からマグネットによりサングラスを取り付けるシステムなので普段はメガネとして使用できます。

遠近両用のレンズはメーカーにより設計が異なります。
使い慣れたメーカーのレンズを使用できて違和感を軽減できます。

取り付ける偏光レンズは度無しなので度付きの遠近両用偏光サングラスを作るより値段的にも安くなります。

遠近両用のレンズは、レンズの度数だけでなく掛け具合調製も非常に大切になってきますので、当店では遠近両用のレンズに関しては通信販売は行っていません。
当店までご来店いただくようお願いします。
遠方でご来店できないお客様も、ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。


 13.あると便利な小物

サングラスホルダー

これがあるとサングラスがずり落ちないだけじゃなく顔にフィットさせることも出来るので必需品です。

曇止め

 


 14.日ごろのメンテナンスについて


砂埃等が付いた場合は軽く水洗いしてから柔らかい布等で水分を拭き取ってください。乾いたまま拭きますと埃等によりレンズを傷つけることがあります。
洗浄後の水滴や雨などでレンズが濡れたまま放置すると、水垢がしみつき取れなくなることがあります。
洗浄はメガネレンズクリーナー、水、中性洗剤をご使用ください。アルカリ性、酸性洗剤はレンズのコーティングを劣化させます。


 15.使用上の注意

置き方

メガネやサングラスを置くときは、レンズの傷つきを防ぐために、レンズ面を上にしましょう。

拭き方

汚れたときは、チリやホコリを払ってから、柔らかい布かティッシュでやさしく拭いてください。

かけ外しのときは

かけ外しは必ず両手で。やさしく取り扱うことが、フレームを変形させないコツです。

水などに濡れたら

レンズに雨、汗、油、洗剤、薬品などの液体が付着した場合は、すぐに水洗いして拭き取ってください。シミやくもりの原因になります。

熱にさらさない

ドライヤーの熱風や熱湯、サウナなど〔熱〕を使う場所では、外すようにしましょう。〔熱〕により、変形したりコーティングが破損する場合があります。

強い陽ざしに注意

ダッシュボードの上や炎天下に放置しないでください。変形や火傷の原因になることがあります。

修理が必要なときは

自分で分解や修理をしないでください。フレームが変形したりネジがゆるんだとき、かけぐあいが悪かったときなど、修理・調整が必要なときは、必ずメガネ店でおこなってください。

衝撃にご注意

スポーツなど、激しい衝撃を受ける可能性のある場所では使わないでください。レンズやフレームの破損により、目や肌を傷つける場合があります。

かぶれなどが起きたら

肌にかぶれ、かゆみ、湿疹などの異常があらわれたときは、すぐに使用をやめ、医師の診断を受けてください。フレームの材質が体質に合わない可能性があります。

持ち運ぶときは

持ち運ぶとき、または使用しないときはケースに入れて保管してください。

濃い色のレンズで
運転するときは

サングラスやカラーレンズを入れたメガネの場合、濃度の濃い(視感透過率の低い)レンズで運転をしますと、光量不足で視力が低下し、事故を起こす危険があります。

カラーレンズや調光レンズ、サングラスをかけて運転する際はトンネルに注意してください。急に光量不足になり、視力が低下して事故を起こす危険があります。

 

 

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